トークイベント「矢作川から学ぶ 流域の経済圏と関係人口」を開催しました
みなさん、こんにちは。もりとみず基金インターンの佐野です。
4/11(金)に開催したトークイベント「矢作川から学ぶ 流域の経済圏と関係人口」の報告です!
イベントの概要はこちら↓

会場には、約25名の参加がありました。普段から森林に関わる林業者や製材業者だけでなく、これから山に関わろうとする方、直接的には森林と関わりがない方など幅広い方にご参加いただきました。
イベントは次のような流れで進行しました。
ゲストスピーカー自己紹介→流域経済圏プロジェクト『nebane』の紹介→トークセッション
流域経済圏プロジェクト『nebane』について
『nebane』はゲストスピーカーである(株)やまとわの奥田悠史さんと(一社)ねばのもりの杉山泰彦さんが中心になって進めているプロジェクトです。
『nebane』では、川の上流と下流それぞれの生活や文化、経済などの営みから生まれる価値を交換する「流域経済圏」を提唱しています。そのうえで、長野県根羽村に源流があり、愛知県まで流れている矢作川を通して、川の上流と下流の価値交換をつなぐ役割を担う事業を行います。
『nebane』のHPはこちら→https://nebane.jp
『nebane』についての記事はこちら→https://prtimes.jp/story/detail/YxR2PlieP8x
トークセッション
トークセッションでは、会場の参加者の方からも積極的に質問や意見が出て、とても密度の濃い時間になりました。すごくボリュームのある議論だったので、僕が個人的に印象に残っている部分について2つほど紹介します。
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流域経済圏という考え方について
もりとみず基金事務局長の尾崎さんより「6次産業化して付加価値をつけるのではなくて、経済圏という考え方が出たのはなぜか?」という問いかけがありました。
奥田さんは「もともと根羽村の意識として、流域という考え方があった。」としたうえで、
「下流(都市部)が強くて、上流(農山村地域)が支援を受けるという構図は経済に振り回される。また、上流(農山村地域)からの脅しにもなってはいけない。上流から下流に対してどのような価値を提供できるのか?逆に、下流から上流に対してどのような価値を提供できるのか?というお互いの協力関係をマインドとして共有しておかないといけない。」と上流と下流の対等な関係を築いていくことの重要性について話されました。
杉山さんは「ゴールは新しい経営モデルをつくること。大事なことは根羽村にお金が落ちること。」とあくまで、目的ではなく手段として流域経済圏があることを強調されました。
僕はこのやりとりを聞きながら、こう感じました。
・上流と下流での認識って絶対にズレるやろうし、だからこそ、上流と下流の価値交換をつなぐ役割を担う『nebane』はめっちゃ重要な存在なんやなぁ
・具体的にどうするかっていうのは、いろんなやり方あるし状況によっても変わるからこそ、流域経済圏が全部じゃないんやろうぁってしっくりきた
誰のための森づくりか
尾崎さんは「森づくり・山づくりでは誰のため?というのが置いていかれがち。誰のための焦点はどこ?」と会場に投げかけました。これには多くの意見がありました。
事務局の立川さんは「林業という産業は顧客が見えづらい。」と前置きしたうえで「山主は当てはまる。」と回答しました。
他にも、杉山さん「根羽村のため。ただ、根羽村に関わるすべての人が幸せになることを考えた結果が森づくりであり、森づくりそのものを意識していない。」
フォレスター「林業従事者のための森づくり。人手不足や木材価格の低い状態を打破する。」
林業従事者①「儲かる森づくり。そのためにも、森林の中でもゾーニングをしないといけない。」
林業従事者②「動物も含めてその森を誰が使うかが重要。」
と本当にさまざまな回答が返ってきました。
この状態に杉山さんは「森という言葉の範囲が広すぎる。範囲を小さくする。ゾーニングが大事で、時には取捨選択が必要になる。」と意見を述べられました。この意見には、尾崎さんが「決めた途端、関わる人が固定されてしまうのではないか?」と懸念を示されました。
このような状態に陥らないためにも、長期的・広域的な視点に立って地域の森林づくりに関わるフォレスターが重要だと再確認されました。
誰のため?は僕自身もあまり意識したことがなかったので、ハッとさせられました。
・普段から森林に関わっている人でも考え方はいろいろあるし、こんなに違うんか。
・目に見えるもんでもないから、誰のための森づくりか?っていうのはちゃんと意識せなあかんし、それを一人ひとりが持っとくことが大事な気がする。

全体を通して
森林への関わりがあったり、なかったりする人が一緒になって森林について考える良い機会になったと思います。また、森林の見え方・捉え方は幅広いことが改めて感じることができました。このような森林に関わりがない人でも参加できるイベントも増やしていけたら良いなと思います。
最後に、杉山さんは「理論的ではないワクワクが人を惹きつける」と話されました。僕自身、もりとみず基金に対して強烈に惹かれるものがあり、今インターンとして働いています。これからも、もりとみず基金を通じて嶺北地域に多くの人が惹きつけられるようにしていきたいなと思います。